官事務所の窓

4月16日

桜前線が北上し関東は葉桜になった。満開の桜の陰で凍てつく月に白い輪郭を光らせていたハナミズキの蕾もその柔らかな初々しい花を開き、季節は確実にうつろってゆく。
先日NHKが「無縁社会」という番組を放映し、大きな反響を呼んだ。ごく普通の人々が土地や人との繋がりを無くし孤独死する実態。故郷の家族に迷惑や心配をかけたくないという若者が陥ってゆく孤独。どれも他人事ではない。
解決策も提示されていた。自分からコミュニティに参加してゆくこと。はじめは恐る恐る、面倒はイヤだなと及び腰だったりするのだが、他人と一緒に作業したり話したりするうちに楽しく、こころ強くなってくるようだ。人という字は支えあっている、とよく言われるが、繋がりを求めるのが人間だ。たこ八郎さんの「迷惑かけて有難う」はけだし至言である。
ある人に寂しい時のツボはどこかと聞かれた。私なりにお答えしたい。
目を瞑り、呼吸を深くし、今日会った一人一人を思い出し、声に出して「有難うございます」と言ってみる。次にこれまでの人生で関ってくれた人々や親兄弟にも。内観と言われる広く知られた方法だが、寂しい時ほど効果的なオススメのツボである。